川うそ人をだます  (田尻)
 田尻の人は、よく川うそに騙されたそうです。「川うそってどんな動物ですか?」とお聞きしてみましたら、「ねずみを大きくしたようなもので、白茶色の毛でおおわれており、指には水かきがついている」と、いう話でありました。そして日頃はどじょうなんかをとって生きているそうで、この川うそが人をばかすと言うのです。 田尻部落の人達が信濃川の中州にある畑から一日の仕事を終えて舟で帰る時、川の真申で突然火の雨が降り、舟中が一面に火の粉になって見える、一瞬あわてると、舟がひっくり返ってしまいます。そんなときには、おちついて小便をすると、たちまち火はきえてしまい、川うそは逃げて行ってしまうそうです。
 古老の方は、「かわうそに小便」という諺があるが、その通りだと笑いながら語ってくださいました。