竹  森  古  話

竹森の古老の方々から色々な話をお聞きしました。

◎ 大入道の話
 寄泊町に川崎というところがありますか、その川崎に明治の始め、専太郎という捕吏(警察官)がいました。 六月のつゆの頃、専太郎が寺泊から帰る途中法崎をすぎて漸く″渡辺田″というところにさしかかったところ、いきなり目の前に大入道が立ちはだかった。専太郎は内心びっくりぎょうてんしましたが、ぐつと唾をのみこみ煙草に火をつけ て、その大入道と問答をし、大声で叱りつけた、すると大入道はたちまち姿をけしてしまったそうです。 専太郎は急いで家に帰ったけれど、それからはおそろしく、大入道が目の前にちらつき三日間も食事
ができなかったそうです。


◎ さめの話し
 今から二百四五十年程昔のこと、小田七二さんの先祖の方が寺泊からさめを買うて帰る途中で、急に重くなった、不思議におもったがすぐまた軽くなったので、そのまま家に帰りました。家についてさめを背からおろしたら一本とられていたとの事であります、ぶっそうな話しですね。


◎みの火がつく
  つゆの頃ある呉服屋が荷をかずいて (担いで)、夕方おそく村にさしかかると身につけていた蓑のしずくが、突然火の粉となった。おどろいた呉服屋は「みの火がついた」「みの火がついた」といってさわいだ。いたちのいたづらでなかったろうか、いたちはよく後足で砂をはねて、人にかけそのすきをみてにげたり化けたりするので、砂まきいたちという言葉があるそうです。