良寛さまとにごり酒 (入軽井) | |
五合庵に籠っておられた良寛さまは、時々山をおりて托鉢に里をおまわりになりました。大河津村の入軽井では山崎六左工門という家へときどきお寄りになられました。 信仰の厚い六左工門のことですから、いつも良寛さまを大切に持てなしました。ある日、六左工門がにごり酒が丁度出来ましたので、家のものにもたせて五合庵の良寛さまのところに届けさせました。 良寛さまは、大好物のどぶろくに大喜、早速御馳走になり、そのまゝぐっすり眠りました。そして翌朝ていねいに礼状を書いて寄こされました。 昨日はにごり酒一たるありがたくいたゞきました。 大方のよを六つまじくわたりなば 十に一つも不足なからむ 小正月いはふ小松の七五三 丑につけこむ十分の福 と二つの歌も添えてありました。 (原田勘平氏談) |