経    塚   (高内)
 大河津村大字高内はずいぶん塚の多いところであります。塚が多いというのは、その部落に昔の古蹟が多くあると言うことになるのではないでしょうか。
 塚は山中いたるところにあります。行塚、西がらんの塚、みなんだ (南田) のさべっちょ塚、治郎の塚、また地蔵尊のある高岡の塚等と、まことに数多くの塚があります。きょうづか(経塚)というのはこれ等の中の一つであります、たいていの塚にはあまりはっきりした故事は伝わっていないのですが、経塚にはつぎのような話があります。
 「今から七五〇年程前、鉄火聖人という人が五〇才の時、高野山を下って諸国じゅんじょう(巡錫)の途中に、高内村に来られました、白山社の裏手で眺望のよい所に庵を立ててそこに修行すること三年、その後長野の善光寺の坊に行かれました。去るにあたって経塚を作り、そこに地蔵尊を安置されたものであり、これが延命地蔵であります。霊顕あらたかなことは、一度祈れば諸病、厄を免れ、長命すると言うことであります。」
 「南無阿弥陀仏‥‥」