小波会納涼句会詠草
(兼題 夜の秋・空蝿他当季)
大越碧水子
宴果て
風の気配は夜の秋
水沢 蕉子
滞在の
客も帰りて夜の秋
小島 冬扇
ペン走る
かそげき音や夜の秋
矢尻ゆきを
文机に
歳時記二冊夜の秋
石川 致女
夜の秋
ふとコーヒーの熱き香を
外山きよし
転び寝の
脛なでる風夜の秋
内藤 蓮糸
空蝉を
鉛筆立てに野球の子
能登 頑牛
空蝉の
すがりて居りし無縁の碑
外山 海子
空蝉の
三つ四つ五つ国上寺
竹内 雀山
帰省子の
話肴の夕飯かな
江原 汀子
玄関に
足置く場なき花火客
斉藤 紫苑
梅雨明けの
成らざる儘に秋立ちぬ
中村 流瓢
寺の庭
南瓜の花も咲いてゐて
小島 温石
灯明に
光輪顕てり梅雨じめり
加勢 白汀
招かれて
港の見える夏座敷
小形 美代
百合活けて
部屋の汚れをおそれけり |