秋晴れの聚感園を会場に第十四回史跡まつりが開催された。
 思えば今は亡き横山憲彰氏,寺泊高校へ赴任してこられて、あの特徴ある白髪長髪の風貌でビールに氷を入れて飲みながらの諭談風発。
 教員と云う転勤を伴うお仕事の中で転任地の歴史の中からテーマを設定して生徒達やその土地の人々と活動を展開してゆくことをライフワークにしておられたようである。
 寺泊でのテーマ設定に「為兼と初君」を選ばれたことは一応肯づけるとして「淫せざるとは」で迫るとは少々度肝を抜かれた。
 船乗りの世界ではよく港々に女ありなんてことが言われているだけに、転勤族の先生もそんなとこからの連想ではないんですかなどと飲み乍ら茶化した。
 その末裔探しは謎の財宝探しにも似ていささかスリリングでもあり思ってみればその一滴の追跡と言う滑稽さもあって興味津々たるものでしたが、相聞の碑が建ち、為兼初君の絵が完成し、初君祭に始る毎年の集いが有志の後継を得て歴史まつりとして十四回を重ねるに至ったことはまことに意義深いことと思います。
 今年の記念講演は長岡市の中央図書館主幹の稲川明雄氏を迎えて「川路聖議と実像本間精一郎」と言う題で講演を頂いた。
 本間精一郎の人となりを知る上で興味深い話しであり、本間精一郎の歴史的評価を再考すべしと情熱的なお話しであった。
 恒例の短歌と俳句は次の方々が推薦作品となった。

   機 町 小島  英
攻魂の多につきたる実は傾ぎ
 秋陽の中にてらてら光る

    野積 伊藤三四江
白菊の人の心ぞしらるると
 よましし鳥羽の帝しのぼるる

    敦ケ曽根 椿  雅子
あかあかと海の入日が峠越ゆる
 バスの窓よりわっととびこむ

    坂井町 本間八重子
赤帽子赤きべべ着たポストさん
私の恋文ことりとうける

    硲 田 小黒 露村
湖満つる音のかすかや天の川

    与板 黒川弥寿栄
相闇の海へなだるる石蕗の花

    磯町樋口 修三
初君の歌碑にモミガラ焼く煙

    北曽根 鈴木 清風
日蓮の碑に群がりし赤とんぼ

 その後盡瓶楼田甚で祝宴、暮
れ急ぐ秋の日を惜しみつつ意見
交換の一夕となった。