小波会二月句会詠草
 (季題 寒し・冬菜・当季雑詠)

      大越碧水子
温かさ
 言葉うれしさ寒さかな

     小鳥 温石
暁寒し
 衣桁を滑り上着落つ

     竹内 雀山
観能の
 帰途庄内の月寒し

      斉藤 紫苑
庭池の
底まで透ける寒さかな

      小形 美代
寒気澄む
 文字盤青き腕時計

      小島 冬
消えてなほなり扇
 圧さるる形に冬菜畑

      内藤 蓮糸
ささやかな
 漁の網干す冬菜畑

      外山 海子
しみじみと
 冬菜の甘き旅帰り

      加勢 白汀
冬菜炊く
 周富徳の名人り鍋

      水沢 蕉子
雪ことに
 甘みましゆく冬菜かな

      中村 流瓢
寒満月
 佐渡暁天に薄れゆく

      江原 汀子
大寒や
 競られる魚の目の澄みて

      外山きよし
ドカ雪の
  道一列に登校の子

      矢尻ゆきを
雪降れは
「えご」を練るべし竈の火

       能登 頑牛
露天の湯
 来し方想う雪景色